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ポンド危機(欧州危機)について

どのような事件ですか?

外国為替市場というのは、世界中の輸出入業者や金融機関、投資家が参加して24時間動いている巨大なマーケットです。なので、一般的には、1人の人間がこの市場を思いのままに動かすことなど不可能だと思われています。

しかしながら、過去に短時間ではありましたが、1人の人間が為替市場に挑戦して大きな影響を及ぼし、最終的には一国の通貨制度を変えてしまうという事件がありました。これが「ポンド危機」とか「欧州危機」といわれる事件です。

具体的な事件の内容は?

英国はEU(欧州共同体)の一員ではありますが、欧州通貨であるユーロには参加していませんので、現在でも自国通貨のポンドを使用しています。ただし英国も、1990年代はじめまでは、ユーロに参加するつもりで準備を進めていました。

ユーロに参加するためには、他の参加国と金利水準や財政赤字、為替レートの変動率を、一定の枠に収める必要があったのですが、当時の英国は不況であるにも関わらず、金利を高く維持して、ポンドのレートをドイツ・マルクなど他の通貨と強引に合わせていました。

これに目をつけたのが、デリバティブを駆使して運用するヘッジ・ファンドを運用し、驚異的な利益率を上げていた「ジョージ・ソロス」でした。

ソロスは、ポンドはいずれERM※から離脱を余儀なくされると読んで、果敢にポンド売りを仕掛けたのです。

これに対して、英国の金融当局は、必死でポンド買いを行い防戦しましたが、他の投機家たちもソロスに追随したこともあり、ポンド売りの力が圧倒的となりました。そして、ついに1992年9月16日、英国当局はポンドの買い支えをあきらめ、ERMから離脱したのです。

※ユーロに移行する前の欧州の通貨体制のことです。


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